Wind of Destiny

やる気の無い雑記帳

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想起(第8話)

第8話、そろそろ終盤戦。
だいぶ勝手に動くようになってきた…んだけど。
相変わらず主人公は動こうとしません。
そういう話だから、それはそれでいいのかも?
まぁ、いつまで経っても「転」が出てきませんが、
何事も無いように↓本文です。


「お疲れ様、これ今月分の給料な。」
ここでのバイトを復帰してから早数ヶ月。
冬の風がそろそろ本格化してくる頃合だ。
「徹、また行くのか?今度は何処だ?」
「ん、あぁ…。」
真人が珍しく神妙な顔つきをしている。
俺が旅に出てる理由を知ってるんだよな、こいつ。
なんの事はない、傷心旅行なんだけどね。
いつまで経っても引きずるとか、情けないね俺。
「忘れろ、とは言えないけどさ。
 ずっと覚えてるのも辛くないか?」
言いたい事は分かるさ、後ろばっかり振り返ってもしょうがないって事はさ。
でも、まだ進めないんだ…。
「俺はさ、時々お前が辛そうな表情するのが、どうも嫌でさ…。
 昔みたいにバカ騒ぎする機会も減ったし、そのなんだ。
 こう言葉にするのは苦手でさ、上手く言えないんだけど。」
心配してくれてるのはありがたい。
立ち直って、昔みたいにバカ騒ぎもしたいさ。
でも、その度に俺は隣にいないあいつの事を思い出してしまうんだ。
何もかもが輝いて見えた、あの時代の事を。
俺は、胸のうちだけでそう呟く。
「まぁ、気を付けてな。
 事故るなよ?」
「あぁ。」
短くそう答えて、俺は店を後にする。
「夢の世界がこの世界の未来に続いてるなら、
 俺はここで足踏みしてる場合じゃないんだけど…な。」

目覚ましをかけていたわけでもないのに、陽が昇りきる前に目が覚める。
「さて、いきますか。」
僅かな荷物を後部座席に括り、エンジンを掛ける。
雪でも降りそうな天気だな。
……
下道を走って暫く、ちらほら冬の象徴が降り始める。
「ちっ、降ってきやがった。」
あの時もそうだったよな。

 『うわ、降ってきたな。』
 バイクを停めて空を見上げる。
 『ホントだねぇ。
  だから電車で行こうって言ったのに。』
 言葉とは裏腹に、怒ってる表情ではない。
 『色んな所に寄りつつ行くのも、たまにはいいだろ?』
 『一緒に居れれば、どっちでもいいよ。』
 そう言って更に身を寄せてくる。


あの時と同じ場所か、ここ。
皮肉なもんだな。
向かう場所も全く一緒となると、何か不思議な物を感じざるを得ない。
「全く同じ道を行くって、俺どれだけ女々しいんだよ、ホント。」
またバイクを走らせる。
何故か妙に風が冷たく感じる。

最初の目的地に到着。
今回は早めに宿を取る。
宿に荷物を置き、古風な街並みを散策する。
雪は降り続けているものの、さして気になるほどでもなく、風景に良く似合っていた。
まるで時が止まってるかのような風景。
「きっと止まってるのは俺だろうな…。
 っと。」
気付けば大通りに出ていた。
人影は少ないが、車はそれなりに走ってる。
皆寒いようだ、俺も寒い。
「ん?」
横断歩道での信号待ちの最中、一台の変哲もないタクシーが目の前を通り過ぎる。
問題なのはそのタクシーの中。
「まさか…な。
 気のせいか他人の空似か…。」
いるはずがない、いるはずがないんだと言い聞かせても、何故か異様に高まる鼓動。
締め付けられるような痛み、吐きそうになるほど荒れる感情。
俺はそこから逃げるように走り出していた。
何から逃げるんだ?
また…逃げるのか?

宿に戻る、そして浴びるように酒を飲む。
いつしか俺は酔い潰れて寝ていた。
夢の中では幸せな時間、穏やかな生活。
望んだ生活がそこにあった。
このまま起きたくない…
Trrrrrrr
耳障りな機械音で脳を覚醒される。
「ん?誰だ…。」
酔い潰れてから何時間経ったのか分からない。
外は既に真っ暗。
Trrrrrrr
鳴り続ける耳障りな音。
「はいはい、今出るよ。」

(もうすぐ終わる(はず))
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